医療安全対策の常識と工夫(29)  PDF

医療安全対策の常識と工夫(29)

まずは落ち着きましょう 落ち着かせましょう

 根気や誠意を持った態度を患者さんに示すには、それなりの前提条件が必要です。つまり、医療機関側が平常心で対応しなければならないということです。クレームをつけてくる患者さんやその家族は、それこそ真剣です。その勢いたるや、時には実に凄いことがあるようです。

 受付窓口で「○○を今出せ! 居ないんやったら院長をすぐ出せ!」と、周りの患者さんのことなど全く気にする様子もなく、怒鳴り込んで来ることもあるでしょう。このときに応対者が動揺してはいけません。人目のつくところで押し問答を続けるのは、他の患者さんにとっても迷惑ですし、医療機関に対する印象にも影響を与え兼ねません。そこで患者さんの訴えを手短に聞いて、話し合う必要があると判断した場合には、直ちに場所を変えることをお勧めします。できれば個室で静かなところが好ましいでしょう。院内に医師しか居ない診療所ならばやむを得ませんが、基本的には事務の方が対応される方がよいと思われます。その際には複数で対応すべきでしょう。どなたが対応される場合でも、患者さんに対しては落ち着いた態度が必要です。意識的に声を低くゆっくりと話されるのも良いでしょう。要は、患者さんのペースに呑まれて慌てたり興奮しないことです。患者さんの方も静かな別室に連れて行かれて、落ち着き払った態度を見せられると、結構、理性的に話をすることもあるようです。

 次回も受付での対応の心がけについてお話します。

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