医療基本法の制定が急務/全社連の伊藤理事長
日本医療マネジメント学会学術総会が6月12日、札幌市で開かれ、全国社会保険協会連合会の伊藤雅治理事長は、医療が抱える複数の課題に取り組む上でも、日本の医療のグランドデザインとなる医療基本法の制定が急務だと訴えた。
伊藤理事長は、医療基本法を生存権(憲法25条)の具現化として位置付け、医療の基本理念のほか、国民皆保険制度の維持、給付と負担に関する基本的方向、医師の適正配置についての規定、地方自治体の責務、国の責務などを明確にすることが必要と指摘。医療制度基本問題審議会を設置し、検討すべきだと提案した。また、政策決定プロセスへの患者・市民参加の法定化なども盛り込むべきとした。
伊藤理事長は、医療費の総額抑制策の転換と、負担と給付の関係について選択肢を示して国民に問うことが必要としたほか、医師の地域的な偏在と診療科間の偏在を是正するには医師養成数の増加のみでは解決しないとも指摘した。
その上で「医師の働く地域や診療科の選択が、すべて医師の判断に委ねられている国は国際的にも例外」とし、偏在を是正するシステムの導入について議論を開始する必要があるとした。また、臓器別の専門医だけでなく、総合医の養成システムの確立も必要とした。民主党が掲げた「医学部学生を1.5倍に増やし、医師数を先進国並にする」との政策については、妥当性について検討を行うべきとした。(6/15MEDIFAXより)