医療圏間で基準病床数の融通可能に/厚労省が検討
厚生労働省は、都道府県内の医療圏間で基準病床数を融通できる構造改革特区の設置について検討する。国が地方の事務を縛る「義務付け・枠付け」の見直しに向け、都道府県が出した共同提案に対する最終回答で明らかにした。
厚労省によると、検討する特区では、休眠病床のある医療圏で基準病床数を削減し、その何割かを他の医療圏の病床数増に反映させることを可能にする考え。削減した数と同数の病床数増はできないこととする。
基準病床数の権限移譲についてはこれまで、35の都道府県が「高度ながん医療を提供する病床や緩和ケアなどの地域に必要な病床が、基準病床数超過を理由に整備困難に陥っている」「基準病床数について都道府県が独自に加減できるようにすることで、ニーズに応じた病床整備が可能になる」と主張。一方、厚労省は「病床数と勤務医数には一定の相関関係がある。一部地域での増床は他地域からの流入を招き、偏在が拡大する」として、特区として対応することに否定的な姿勢を示していた。ただ今回は「提案の実現に向けて対応を検討」と回答し、特区の設置を含め、権限移譲に向けて前向きに検討する方針を示した。
厚労省はこのほか、42の都道府県が共同で提案していた「特例病床の許可で必要な厚生労働大臣への協議の廃止」についても「提案の実現に向けて検討」と判断。「特区として対応不可」としていた従来の考えから方針を変更した。
これらの方針の具体化に向け、厚労省は今後、全国知事会の回答を待って検討に入る見通し。
全国知事会は2010年、義務付け・枠付けの見直しに向けた計23項目の特区を提案。これに対し、政府が8月3日までに各提案に対する最終の見解を回答した。(8/4MEDIFAXより)