医療分野の個人情報は特別法で保護/番号制度で大綱案
政府の「社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会」は6月28日、細やかな社会保障給付の実現などを目的に導入を目指す「社会保障・税番号」の大綱案をまとめた。医療分野の情報は、特別法を整備して保護する方針を打ち出した。大綱案は、月内にも予定される「社会保障改革検討本部」の会合に提出する。その後パブリックコメントを募集し、2011年秋以降に「番号法案」を国会へ提出。14年6月に番号を公布し、15年1月から、まずは社会保障と税務分野のうち可能な範囲で番号の利用を始める。
番号制は、政府・与党が大詰めの調整をしている「社会保障と税の一体改革」を実現するための前提となる制度で、医療・介護などの自己負担の合計額に上限を設定する「総合合算制度」の実施にも欠かせないインフラとなる。番号を利用するのは、医療・介護保険・年金・福祉・労働保健・税務の6分野で、災害時の本人確認や医療情報の確認などにも活用する。
個人情報の保護では、番号法案成立後、番号を扱う行政機関などを監督する第三者機関を早期に設立する。病歴など医療分野の情報については、流出を厳格に防ぐと同時に、厳しく管理し過ぎると医療連携時の情報のやりとりなどに差し障る可能性があるため、「特別法」を番号法と合わせて整備する計画だ。
また、大綱には18年をめどに利用範囲の拡大を含めた番号法の見直しを検討することも盛り込んだ。この時点から民間企業が番号を利用できるようになる可能性がある。しかし会合終了後に記者会見した峰崎直樹内閣官房参与は「今日の議論で、生命保険会社の番号活用に関する意見が出たが、番号を利用して(顧客の)家系にがんにかかった人がいるかを調べるなどの利用法は難しいと言った」と述べた。(6/29MEDIFAXより)