医療保険改革法で違憲判決/米連邦地裁、政府は上訴へ  PDF

医療保険改革法で違憲判決/米連邦地裁、政府は上訴へ

 米バージニア州の連邦地裁は12月13日、3月に成立した医療保険改革法に関し、2014年から国民に原則として保険加入を義務付けた条項が違憲だとする判決を出した。同条項への違憲判決は初めて。

 医療保険加入の義務化は、同法の主要部分。政府側は上訴する構えで、最高裁まで争われる可能性が高い。11月の中間選挙で大勝し勢いに乗る野党共和党は同法撤廃を主張しており、判決はオバマ政権には逆風となる。

 判決は、個人には保険に加入しない選択肢も持つ権利があるとし、加入を迫るのは「憲法が議会に与えた権限を越える」と指摘した。

 バージニア州のクチネリ司法長官(共和党)が提訴していた。判決を下したのは、02年にブッシュ前共和党政権が任命した保守系判事。

 同法をめぐっては、個人の自由と州の主権を侵害しており、違憲だとして法の無効確認を求める同様の訴えがフロリダ州など各地で審理中。ギブズ大統領報道官は12月13日の記者会見で、バージニア州の別の連邦地裁などは合憲だとの判断を下していると指摘し「改革は進む」と述べた。

 米国では個人の自由を尊重し、政府の役割拡大を嫌う伝統的価値観から国民皆保険制度が育たなかった。医療保険改革法は、高所得層への増税などを財源に、低価格の保険商品が選べる仕組みなどを規定して保険加入率の拡大を目指している。【ワシントン共同】(12/15MEDIFAXより)

ページの先頭へ