医療保険制度改革関連法が成立  PDF

医療保険制度改革関連法が成立

都道府県の医療費抑制主体化が本格始動

 5月27日、「医療保険制度改革関連法案(持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案)」が、参議院本会議で142対86の賛成多数で可決、成立した。
 本法案は、国民皆保険体制の基盤である市町村国民健康保険制度の都道府県化を中心内容とする。さらに、保険外併用療養費制度への患者申出療養創設(16年度より)、入院時食事療養費見直しによる食事代への調理費相当分上乗せ(16年度より段階実施)、紹介状なしで大病院を受診する場合等の定額負担の導入(16年度より)等、膨大な改正内容が盛り込まれている。にもかかわらず、短時間で成立させられた。
 成立前日、参院厚生労働委員会での採決を前に、協会の渡邉賢治副理事長は、「医療保険制度改革関連法案を可決させてはならない」(5月26日付)との談話を発表し、京都選出の全国会議員に届けた(左掲)。

国保めぐる諸課題は置き去り

 同法成立で、市町村国保は2018年度から都道府県化される。
 今回の都道府県化は地方自治体サイドが要求してきた財政難に陥りがちな「国保の構造問題」解決を目指すものではない。さらに、住民、医療者の求める高い保険料の低減や資格証交付による受療権侵害、昨今問題の苛酷な滞納処分(差し押さえ)といった国保をめぐる様々な問題に役立つものでもない。談話が指摘したとおり、都道府県化と同時に強化される医療費適正化計画による、都道府県別医療費支出目標の設定、その下で都道府県が、14年成立の医療・介護総合確保推進法による「地域医療構想」を通じた提供体制改革と一体的に保険財政を担うことで、自治体レベルで医療費の管理・抑制推進を狙うことに主眼がある。

抑制ではなく医療保障主体へ

 今後、法施行に向けた準備・調整が進む中、都道府県・市町村が医療費抑制主体ではなく、医療保障給付主体として、被保険者・住民の立場に立った制度運営を行えるよう、医療者と自治体の一致点を模索しながら共同運動の構築をめざすことが、当面の課題となる。

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