医療保険、4段階で「全国一本化」/日医の制度改革案
日本医師会は11月11日、医療保険制度の改革案を盛り込んだ「国民の安心を約束する医療保険制度」を公表した。現行の公的医療保険制度を4段階に分けて順次統合し、最終的には2025年以降に各制度を「全国一本化」することが柱。改革案の基本理念として▽すべての国民が同じ医療を受けられる▽すべての国民が支払い能力に応じて公平な負担をする▽将来にわたって持続可能性がある―を掲げた。財源面で一体的運用を図る「一元化」については「財政調整ではいずれかの制度にしわ寄せされ、『皆保険』としての納得感が得られない」とした。
直近の「第1段階」では、現行の後期高齢者医療制度を弾力的に運用しつつ、一般・高齢者の医療保険制度を一体的に検討した上で、「第2段階」で高齢者医療制度と市町村国保を統合した都道府県単位の「地域保険」を創設。共済組合と協会けんぽは「職域保険」(都道府県単位の協会けんぽ)に統合し、組合健保も徐々に統合していく。「第3段階」では国保組合も統合して「職域保険」を完全統合し、財政調整による一体的運用(一元化)を図り、最終的な「第4段階」で、地域保険と職域保険を全国一本化する。
●日医も保険者機関に参画
一本化に向けた課題として▽国保と被用者保険の所得補足▽国保の保険料賦課方式の統一―などを挙げ「解決に向けて全力を尽くす」とした。また、一本化後の保険者は「第三者機関を設置すべき」と指摘。一本化後は「管理医療が進み、医療費抑制が強化されることが懸念される」と指摘し、医療費抑制阻止のために日医が第三者機関に構成員として参画する考えを盛り込んだ。地域の実情に応じた予防・健康増進などの保険者機能を拡充するため、地域医師会との連携強化もうたった。保険料の事業主負担についても継続して負担を求める検討を進めるとした。
●公費負担割合は「引き上げ」
医療保険への公費負担割合については「全国一本化により、一般と高齢者が1つの保険に加入することになる。その場合にも、制度全体に対して手厚く公費を投入し、高齢者、低所得者の負担をできるだけ少なくしていくべき」とし、引き上げを主張。財源確保に向けて、被用者保険の保険料率を協会けんぽ並みに引き上げるなどの保険料改革と、消費税などの改革、特別会計見直しなど国の歳出改革を同時並行で進めることを提案した。(11/12MEDIFAXより)