医療保護入院で論点案を提示/作業チームで厚労省  PDF

医療保護入院で論点案を提示/作業チームで厚労省

 厚生労働省は12月14日、「新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チーム」(第3ラウンド)の「『保護者制度・入院制度の検討』に係る作業チーム」(座長=町野朔・上智大法学研究科教授)へ医療保護入院に関するこれまでの議論を整理した論点案を示した。構成員らの意見も踏まえた上で、年明けの検討チームに論点案を提示する。

 同作業チームでは、医療保護入院を中心とした入院制度について論点整理を実施。これまでの議論から、厚労省は▽地域精神保健医療福祉での対応▽現行の医療保護入院の在り方▽入院中・退院時・退院後の対応▽医療費負担の在り方―で論点を整理した。

 地域での対応で、治療にアクセスしていない人に対して医療機関側からの介入が必要だとする意見について千葉潜構成員(医療法人青仁会青南病院理事長)は「治療中断者など、強制的に介入することは人権侵害にならないか。介入はどのように担保されるのか、整理が抜けると大変なことになる」と指摘。白石弘巳構成員(東洋大ライフデザイン学部教授)は「これまでは保護者の医療を受けさせる義務によっていた。しかし、保護者の義務がなくなると考えれば、誰も義務として医療機関に連れて行くことはできない」と述べ、議論を詰めていく必要があるとした。

 また、磯部哲構成員(慶応大法科大学院准教授)は「保護者の同意がないのなら、制度の目的や趣旨、本人の同意を得る努力、入院期間の制限、更新の必要性判断を客観的に評価する仕組み、入退院の基準、本人からの不服申し立ての手続きなどを議論する必要がある」とした。

●医療保護入院の医療費負担「原則は本人」
 また、強制的な入院にかかる医療費を本人が負担することを拒否する可能性があることについて、磯部構成員は「誰が受益するのかに着目すべき」として本人負担が原則との考えを示し、広田和子構成員(精神医療サバイバー)も「他の病気と同じ考え方。精神だけ違うことは社会の理解を得られない。本人が負担すべき」とするなど複数の構成員が同様の意見を上げた。(12/15MEDIFAXより)

ページの先頭へ