医療事故調でQ&A出される
医療事故調査制度に関する厚生労働省のQ&Aが5月25日付で更新され、19項目の質問と回答がネット上に掲載されている。協会が当初より訴えてきた医療担当者への責任追及を行わないこと(Q19)や、遺族の範囲の問題(Q7)、小規模医療機関の院内調査(Q11)など、寄せられたパブリックコメントへの回答と位置づけられるもので、比較的コンパクトにまとまっている。同制度の根幹に関わる質疑応答と思われるので、本紙付録として冊子にまとめた。ぜひご覧いただきたい。
なお、掲載されているQ&Aは厚生労働省のホームページでもご確認いただける。
協会は、事故に遭った医療者と患者・家族双方の人権を擁護する立場に立ち、双方が安心して原因調査を委ねることのできる医療事故調査制度を創るよう求めていく方針だ。支援団体としての参画も視野に、積極的な役割を果たしていきたい。
現場医師の責任追及にも言及
Q&Aの問19では、医療事故調査を行うことで、現場の医師の責任が追及されることにならないかとされており、「本制度の目的は医療の安全を確保するために、医療事故の再発防止を行うことであり、責任追及を目的としたものではない。施行通知においても、その旨を院内調査報告書の冒頭に記載している」。また「今後の医療の安全を確保するため医療事故の再発防止を行うものであり、すでに起きた事案の責任を追及するために行うものではない」と回答している。
この点は大いに評価されるが、「報告書を訴訟に使用することについて、刑事訴訟法、民事訴訟法上の規定を制限することはできない」ともしており、残念ながら免責については不可能と言及している。にもかかわらず「各医療機関が行う医療事故調査や、医療事故調査・支援センターが行う調査の実施に当たっては、本制度の目的を踏まえ、医療事故の原因を個人の医療従事者に帰するのではなく、医療事故が発生した構造的な原因に着目した調査を行い、報告書を作成していただきたい」と理解と協力を求めており、医療機関に判断を丸投げした格好だ。制度施行にあたっては、厚労省からのさらなる情報提供が求められる。