医療事故の年間報告件数、過去最多の3049件/医療機能評価機構
日本医療機能評価機構は3月26日、2013年の「医療事故情報収集等事業」の報告件数が単年集計を始めた05年以降最多の3049件になったと発表した。年間集計では12年の2882件がこれまでの最多記録だった。
後信執行理事は記者会見で、報告件数の過去最多更新について「結果が悪かった医療の情報も提供し、透明性を高めようとする文化が根付いてきている」と分析。「7−9月に約2カ月間、システム改修で報告の受け付けを停止したが、年間報告件数は過去最多になった。負担のある中で入力作業をしていただいた。事業への理解に深く感謝し、引き続きご協力をお願いしたい」とも述べた。
●「死亡」は8.0%
同事業における報告期日(医療事故発生から2週間以内)までに確定した「事故の程度」の割合では「障害残存の可能性がある(低い)」が27.6%と最も多く、以下「障害残存の可能性なし」27.3%、「障害なし」23.7%、「障害残存の可能性あり(高い)」9.7%、「死亡」8.0%と続いた。転帰未確定による「不明」は3.7%だった。
関連する診療科の割合では「整形外科」の12.5%が最も多く、「外科」7.7%、「内科」6.6%、「消化器科」6.3%などと続いた。「事故の概要」では「療養上の世話」の37.8%が最も多く、そのほか「治療・処置」26.5%、「薬剤」7.6%、「ドレーン・チューブ」6.4%などが多い。
●四半期報告も過去最多948件
12年第4四半期(10−12月)の医療事故とヒヤリ・ハット事例をまとめた報告書も併せて公表した。同期の報告件数も過去最多で948件だった。内訳は、国立病院など「報告義務対象医療機関」(274施設)が799件、任意で報告する「参加登録申請医療機関」(689−691施設)が149件だった。
四半期ごとにまとめている「個別テーマの検討状況」では、▽血液浄化療法(血液透析・血液透析濾過・血漿交換など)の医療機器の関連▽薬剤自動分包機の関連▽造血幹細胞移植に関するABO式血液型の誤認▽はさみを使用した際、誤って患者の皮膚や医療材料などを傷つけた事例―の4テーマについて分析結果を示した。(3/27MEDIFAXより)