医療・社会保障に国・自治体が責任果たす福祉国家を
第178回定時代議員会で活動方針
協会は1月28日、第178回定時代議員会を開いた。本会議は2009年度上半期の活動を総括し、下半期の活動方針を採択するもの。代議員会は成立し、09年度上半期活動報告、09年度下半期活動方針、2つの決議案はすべて賛成多数で採択した。(3面に関連記事)
定時代議員会で活動方針案を提案する関理事長
会議は岡田議長が進行。開会に先立ち、1月16日にご逝去された、故・中野信夫名誉理事長へ出席者全員で黙祷し、協会運動への多大な貢献をいただいた故人へ哀悼の意を捧げた。
開会挨拶で関理事長は、開会中の通常国会が本格的な政策論争の場を、との期待に反し、政治と金の問題に終始する実情に遺憾を表明。診療報酬改定を巡る状況についても、わが国の医療水準を引き上げるものとは言えず、不満と述べた。その上で、活発な議論を代議員に呼びかけた。
政治状況の激変の中での取り組み
続いて、増田副理事長から09年度上半期の活動を報告。協会の創立60年と同じ時期に起った政権交代という事態の中での上半期の活動について報告した。政治状況の激変の中、協会は、政権交代直後の民主党懇談、9月27日の東京でのシンポジウムの成功を土台にした社会保障基本法立法化運動の全国的展開を生み出した。地元では、府の「都道府県単位の国保一元化提案」に対し、府内の医療提供体制の現状と課題の把握、医療政策の基本姿勢を問う提言策定にも取り組んだ。診療報酬改善運動では、厚労省交渉や会員署名に取り組み、レセプトオンライン請求義務化撤回運動では、事実上の義務化撤回を勝ち取るに至った。一方で、経営関係でも、融資・年金・休業補償・医賠責保険を中心とした共済制度の充実を図る等、会員の支えとなるよう進めてきた。報告の最後には、医師会館入居問題にも触れ、会員の意向を受け、その実現に努力したいと述べた。
福祉国家実現を迫り、流れを変える
協議事項では、最初に垣田副理事長が情勢報告を行った。ここでも、民主党を中心とする政権の誕生にふれ、戦後初めて、国民の声が成し遂げたものと評価する一方、同党が「構造改革の見直し路線」と「構造改革の安定的遂行」の相反する期待を抱え込んでおり、前者の方向へ事態を進めるために、運動が重要と指摘した。また、京都府の「あんしん医療制度」構想に見られる、地方自治体の構造改革主体化の表れに対しては、国による医療保障の実現、住民の生命と健康を守る地方自治体の責務という原点に立ち戻る必要性を強調した。さらには、政権に対して「福祉国家」実現を迫り、流れを変える運動が重要と提起。取り組みに京都の多くの保険医が参加されるよう求めた。
これら提案はすべて賛成多数で採択された。
下半期活動方針と2つの決議を採択
活動方針を提案した関理事長は、情勢を受け、地方分権改革の本質に言及、構造改革路線との訣別を、国・自治体に求めた。その上で、後期高齢者医療制度の可及的速やかな廃止、診療所再診料の堅守を求め、不合理点数の是正の要求、社会保障基本法制定運動の展開、京都府の医療提供体制をめぐる困難への対応を進める方針を示した。また、協会活動については、確かな部会活動、組織強化、財政基盤確立、そして新医師会館入居への努力を表明した。
また、診療報酬改定をめぐる状況が緊迫する中、今回は通常の決議に加え、「診療所再診料堅持、5分間ルール撤廃等を求める特別決議」を採択した。
協議では、代議員から、情勢に見合った運動の展開や医師会館入居問題に関する意見、社会保険診療報酬への非課税措置についての質問が寄せられた。
閉会挨拶は内田副理事長が行い、引き続いての協会活動への理解と協力を呼びかけた。