医療・介護総合確保法施行へ 都道府県主体の提供体制改革が本格化
6月18日の国会成立を受け、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進する法律」(医療・介護総合確保法)が6月25日に公布。公布日施行とされた一部改正内容についての政省令も同日公布となり、施行された。
都道府県に「基金」
公布日をもって施行された内容に、新たに都道府県が創設する「基金」がある。これは、国が「医療・介護サービス提供体制改革のための新たな財政支援制度」として、2014年度は公費で904億円を準備すると説明してきたもの。政令案では、従来は介護施設の整備等を対象に、都道府県を通じた補助金制度として実施されてきた「地域介護施設整備促進法」(05年施行・略称)の対象を医療へも拡大。名称も「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律」に改める。対象事業は、(1)病床の機能分化・連携のために必要な事業(2)在宅医療・介護サービスの充実のために必要な事業(3)医療従事者等の確保・提供のための事業—。なお、新たに設ける基金財源への国負担は3分の2相当とされる。
すでに、京都府は関係団体から「事業計画」の提出を求め、ヒヤリングも実施している模様で、秋にも都道府県計画のとりまとめが、予想される。どのような計画でどのような事業に、どれほどの金額が補助されるかは不明であるが、その動きに注目が必要である。
X線検査の規制緩和
また同日、改正診療放射線技師法も施行された。診療放射線技師が、病院または診療所以外の場所での集団検診等においては、胸部エックス線検査(コンピュータ断層撮影装置を用いた検査を除く)のために、100万ボルト未満のエネルギーを有する場合には、医師または歯科医師の立ち合いがなくても実施できることとした。
病床機能の報告
今回施行以外の改正内容も、今後順次実施される。「川上」改革である改正医療法における都道府県病床機能報告制度が10月1日、それに基づく地域医療構想は14年4月1日。
「川下」改革である改正介護保険法の多くも14年4月1日からの実施である。今後の政省令・通知発出をはじめとした動向に注視したい。
病床機能報告については、厚生労働省の「病床機能情報の報告・提供の具体的なあり方に関する検討会」が本年3月まで検討を重ね、資料・議事録が公開されている(議事録は2月まで)。2月26日の第10回あり方検討会資料では「病床機能報告制度における医療機関からの報告方法について(案)」として、具体的な報告項目とされる、(1)構造設備・人員配置等に関する項目は、7月1日を基準日に10月1日〜10月末日までに都道府県に報告(2)レセプトデータを用いて報告する具体的な医療の内容に関する項目は7月審査分で集計する—と書いている。しかし、各医療機関に未だ公式な説明がない状態が続いている模様。
都道府県・地方自治体を主体とした医療提供体制改革は本格始動した。協会は京都府はもちろん、地方自治体への要請や意見交換機会を設定するなどの取り組みをすすめる。