医療・介護総合確保法は廃案を 談話発表とともに会員署名も提出  PDF

医療・介護総合確保法は廃案を 談話発表とともに会員署名も提出

 政府・与党は5月14日、衆議院厚生労働委員会で医療・介護総合確保法案(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備に関する法律案)をすべての野党が反対する中、強行採決。15日には衆議院本会議を通過させた。協会はこれを受け、即座に「医療・介護総合確保法案の強行採決に抗議 必ず廃案を!」とする副理事長談話を発表し、政府と国会議員に発信した。23日には、この間取り組んできた「混合診療拡大方針の撤回を求める要請書」55人分(計243人分)、「医療・介護総合確保法案の廃案を求める要請書」46人分(計218人分)を、保団連を通じ追加提出した。署名に協力いただいた会員各位にあらためてお礼申し上げる。

 衆議院での審議で、野党は19本もの法案を一括提案すること自体が問題であり、審議時間も不十分と追及した。法案内容では、特に介護保険法改正部分に関し、現在予防給付の対象者である要支援者の訪問介護・通所介護の地域支援事業移行を「軽度者切り」と批判する追及が目立った。

 あまりに多岐にわたる、なおかつ、盛り込まれた一つひとつの提案があまりにドラスティックな法案であるだけに、審議を深めるための相当な時間が本来は必要である。野党が徹底審議を求めるのは当然であり、それを打ち切っての採決強行は到底許容できない。

 見過ごしてならないのは、この間の法案審議に平行し、主に「成長戦略」系審議会が医療産業化にかかわる提案を連発していることだ。混合診療本格解禁(選択療養提案)、麻生財務相の「医療費総額管理」提唱、そして産業競争力会議が打ち出した「非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)」を活用し、地域丸ごと「医療・介護メガ事業体」に委ねる構想(※岡祐司佛教大学教授が5月25日開催の協会講演会で指摘)等、文字通り矢継ぎ早である。

 医療・介護改革の展開は多層的である。参議院での審議に求められるのは、その多層的な全体構造を正確に捉え、それがわが国の医療・福祉の保障をどこに導くのか、本当にこの線路の上を走り続けても良いのかという、総体的認識からの徹底審議と、その末の法案廃案に他ならない。

 協会・保団連は、そのために必要な資材や提言を至急かつ細やかに、議員に提供する作業が求められる。そして反対世論喚起に向けた、患者・市民との対話・共同も重要な局面となっている。

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