医療・介護の充実、競い合う/自民・民主のマニフェスト  PDF

医療・介護の充実、競い合う/自民・民主のマニフェスト

 小泉構造改革による社会保障のほころびを繕うためか、自民、民主両党のマニフェストは、診療報酬増額など社会保障を手厚くする施策が競い合うように並んでいる。ただ社会保障の財源について、景気回復後の消費税の増税を主張する自民党と、4年間は増税せず無駄遣いの根絶などで捻出するという民主党で違いがあり、争点の1つとなっている。

 社会保障費2200億円の抑制など行き過ぎた医療費抑制施策の反省からか、麻生太郎首相は7月31日のマニフェスト発表の記者会見で「行き過ぎた市場原理主義からは決別する」と述べ、社会保障を手厚くする方針を示した。

 自民党のマニフェストでは診療報酬について「地域医療を確保するためプラス改定を行う」と約束した。また、医師養成数では2009年度に医学部定員を約700人(前年比1.09倍)増員した実績を挙げ、「今後も医療確保のため医師数を増やす」と増員の方針を示した。

 これに対し民主党は、診療報酬では「医師や看護師などの増員に努める医療機関の診療報酬(入院)を増額する」とした。医師養成数も「1.5倍」にするとした上で、これらの政策を実現する予算額をは9000億円と見積もっている。

 財源論については考えが分かれた。自民党は景気回復後に社会保障に充てるため消費税率引き上げを含む抜本的な税制改革の実施を挙げた。麻生首相は会見で「安心できる社会保障のためには、財源が必要」と理解を求めた。

 一方、民主党の鳩山由紀夫代表は7月27日のマニフェスト発表の記者会見で「4年間消費税の増税をすることは一切考えていない」と述べた。マニフェストで掲げた政策を実現するための財源は、天下りの撲滅や不要不急な事業の根絶、埋蔵金の活用などで捻出するとしている。

 また、75歳以上を別建ての医療保険にした後期高齢者医療制度について、自民は制度の存続を前提にした見直しを提案。民主は廃止し、医療保険を段階的に統合するとした。(8/4MEDIFAXより)

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