医療・介護で1.6兆円公費を追加/政府の社会保障改革案  PDF

医療・介護で1.6兆円公費を追加/政府の社会保障改革案

 政府の「社会保障改革に関する集中検討会議」は6月2日、医療・介護サービスなどのあるべき姿を描いた社会保障改革案をまとめた。2015年度段階で、年金などを含む改革全体を通じた社会保障の充実で約3.8兆円の公費追加が必要と試算する一方、重点化・効率化で最大約1.2兆円の削減を見込んでおり、差し引きの公費追加は約2.7兆円となった。このうち医療・介護の追加分は最大で約1.6兆円弱。財源捻出のため、消費税率を15年度までに段階的に10%まで引き上げることを明記した。消費税は社会保障の目的税とすることを法律上も会計上も明確にし、年金、医療、介護、少子化対策の「社会保障4経費」に使用することを打ち出している。

 医療・介護分野は「サービス提供体制の改革」と「保険者機能の強化による医療・介護保険制度の改革」が柱。提供体制では、病院・病床機能の分化や在宅医療の充実、地域包括ケアシステムの構築、重点化に伴うマンパワー増強などに取り組む。効率化では、平均在院日数の減少や外来受診の適正化、介護予防・重度化予防などを掲げた。

 保険者機能の強化には、短時間労働者に被用者保険の適用拡大を図ることなどを盛り込んだ。長期高額医療に対応できるよう、高額療養費も見直す。高額療養費の見直しに必要な財源は最大で約1300億円と想定しており、これは初診・再診時に患者が一定額を負担する「受診時定額負担」などで賄う。負担額は100円を例示した。制度設計は固まっていないが、3割負担の被保険者の医療費が1000円の場合、300円+100円=400円を患者が負担し、保険給付が600円になる形を想定している。自己負担に上限を設ける「総合合算制度」については、必要な財源を最大約0.4兆円と試算した。

 一方、70−74歳の窓口負担を2割に引き上げることや、高齢者医療費支援金の総報酬割導入、後発医薬品のさらなる使用促進などで効率化にも取り組む。

●15年度に財政健全化達成
 今回の社会保障改革は、財源確保と財政健全化の同時達成を命題としている。このため消費税5%の引き上げ分は、制度改革に伴う支出増と税率引き上げに伴う支出増に1%ずつを充て、高齢化の進行に伴う社会保障費増や、年金の安定財源、赤字国債などで対応している現状機能の維持に1%ずつ、計3%を投入する。この3%分が国と地方のプライマリーバランス改善に寄与することで、財政赤字のGDP比を15年度までに半減する財政健全化目標の達成が見込まれるとした。

 政府は今後、6月20日前後の成案決定を目指し、政府・与党の社会保障改革検討本部の幹部で構成する「成案決定会合(仮称)」や、政府税制調査会、民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」、集中検討会議で議論を進める。(6/3MEDIFAXより)

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