医療・介護で新規雇用284万人/菅内閣の新成長戦略  PDF

医療・介護で新規雇用284万人/菅内閣の新成長戦略

 政府は6月18日、2020年度までの経済戦略をまとめた新成長戦略を閣議決定した(資料1、後掲22ページ)。医療・介護を中心とする健康分野で20年までに新規に50兆円の需要と284万人の雇用を創出する。

 成長戦略の実現に向けた「工程表」では、医療・介護の基盤強化の道筋も示した。10年度に実施する事項として、グランドデザインの策定や医療・介護関連職種の活用促進・役割拡大などを盛り込んだ。「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」の一体的な構築を掲げる菅内閣の姿勢を具体的に示す形となった。

●セーフティーネット充実で「貯蓄から消費へ」

 工程表では「医療・介護サービスの基盤強化、高齢者の安心な暮らしの実現」として20年までに平均在院日数の縮減を図り、国民のQOL向上、職場・家庭への早期復帰を実現するとした。医療・介護で新規雇用を創出し、セーフティーネットの充実で「貯蓄から消費へ」の流れを生み出すことを目標とした。

 工程表によると、10年度に実施する事項は▽医療提供体制と介護サービス提供体制(マンパワーを含む)についての今後の需要予測を踏まえたグランドデザインの策定▽看護師、薬剤師、介護職員など既存の医療・介護関連職種の活用促進・役割拡大▽医療クラークなどの大幅な導入促進―など。厚労省はすでに医療・介護施設の横断調査や医師不足の実態調査を開始しているほか、特定看護師(仮称)を中心としたチーム医療の在り方などについて検討を進めている。介護分野では、特別養護老人ホームへの社会医療法人の参入も想定し、運営主体規制の見直しを進めるとした。

●11年度末には介護施設16万床整備

 11年度には4疾病5事業の医療連携体制の構築強化を進めるほか、同年度末までには介護基盤の整備を図るため特別養護老人ホームや老健施設などを16万床整備するとした。遠隔医療については、拡大に向けた法令の見直しや診療報酬の活用などインセンティブについて検討するとした。

●13年度までにOECD並み医師数

 12年度の診療報酬と介護報酬の同時改定の後、13年度までに実施すべき事項には、グランドデザインの進捗評価と見直し、24時間地域巡回型訪問サービス、レスパイトケアの本格実施などを挙げた。急性期医療の機能強化による平均在院日数の縮減とOECD並みの実働医師数の確保も明記した。(6/21MEDIFAXより)

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