医療は34兆634億円、前年度比3.5%増/11年度社会保障給付費
国立社会保障・人口問題研究所は12月6日、社会保障給付費のほか、社会保障に関連する施設整備費などを含む「社会支出」を集計した2011年度版「社会保障費用統計」を公表した。11年度の社会保障給付費総額は、前年度比2.7%増の107兆4950億円となり、過去最高を更新した。このうち医療は同3.5%増の34兆634億円で、社会保障給付費の31.7%を占めた。社会支出も過去最高を更新する同2.9%増の112兆437億円となった。
社会保障費用統計は、医療保険や介護保険、年金、生活保護など社会保障制度の給付費を国際労働機関(ILO)基準で集計する。総額のほか、「医療」「年金」「介護対策や障害者対策などを含む福祉その他」の部門別でも集計する。社会支出を経済協力開発機構(OECD)基準に基づき、「高齢」「保健」「家族」などの政策分野別に集計した結果も示す。
11年度の介護対策費をみると、前年度比5.1%増の7兆8881億円となった。社会保障給付費の7.3%に相当する。
社会支出を政策分野別にみると、総額に占める割合は「高齢」が46.5%と最も大きく、52兆1233億円に上った。次いで「保健」が32.4%の36兆2866億円で、「高齢」と「保健」だけで全体の約8割を占めることになった。
以下、「遺族」が6.1%で6兆8130億円、「家族」が5.7%で6兆3890億円、「障害、業務災害、傷病」が4.3%で4兆8018億円―などと続く。
●医療・介護自己負担減免費は870億円
11年度は東日本大震災に起因する社会保障関連の主な費用についても、可能な範囲で集計した。災害救助法に基づく支出などを含み、必ずしも東日本大震災に限定した集計ではないという。
ILO基準とOECD基準に合致する法令に基づく制度での費用総額は1兆4430億円だった。このうち、災害救助費は約5200億円、病院や社会福祉施設の建て替えなどの「災害復旧費」は約1000億円、「医療・介護保険の自己負担等減免」は870億円(医療約840億円、介護約40億円)だった。(12/9MEDIFAXより)