医療は32兆3312億円、4.8%増/10年度社会保障給付費  PDF

医療は32兆3312億円、4.8%増/10年度社会保障給付費

 国立社会保障・人口問題研究所は11月29日、医療保険や介護保険、年金、雇用保険、生活保護などの社会保障制度に関する1年間の支出を取りまとめた2010年度版「社会保障費用統計(旧・社会保障給付費)」の概況を公表した。国際労働機関(ILO)基準で集計した社会保障給付費の内訳を見ると、医療は32兆3312億円(前年度比4.8%増)で、社会保障給付費全体に占める割合は31.2%だった。高齢化や医療の高度化、診療報酬の改定率がネットで0.19%増になったことなどが影響したとみられる。年金は52兆4184億円(1.3%増)で、構成比は50.7%。福祉その他は18兆7384億円(8.4%増)で、構成比は18.1%。

 一方、社会保障財源に目を向けると、収入総額は112兆1707億円だった。内訳は、社会保険料が57兆8468億円で、構成比は51.6%、対前年度伸び率は4.4%増。また、公費負担は40兆830億円で、構成比は35.7%、伸び率は2.3%増だった。

●国際比較可能なOECD基準の社会支出を掲載
 この統計資料は、11年度まで「社会保障給付費」として集計していたが、12年7月に総務大臣告示で基幹統計に指定され、国際比較できるよう見直す必要があったため、内容を充実し、統計の名称も「社会保障費用統計」に改めた。大きく変わった点は、今回から「社会支出」の項目を載せたこと。09年度版までの社会保障給付費は、ILOが定めた基準で個人に返るものだけを集計していたが、従来の方法では国際比較ができなかった。今回から追加した社会支出は経済協力開発機構(OECD)基準で集計されており、国際比較が可能。施設整備費など直接個人に渡らない支出や就学前教育、自動車賠償責任保険、生活保護以外の住宅関係費なども含まれており、集計範囲が広がる。</p

 OECD基準でまとめた10年度の社会支出総額は110兆4541億円(前年度比1兆5914億円増、1.5%増)。社会支出の内訳は、高齢(47.3%)、遺族(6.3%)、障害・業務・災害・傷病(4.8%)、保健(31.7%)、家族(5.5%)、積極的労働市場政策(1.2%)、失業(1.3%)、住宅(0.7%)、その他の政策分野(1.1%)。医療や公衆衛生は保健に含まれる。保健の前年度伸び率は3.0%だった。国民1人当たりの社会支出は86万2500円。

 ILO基準でまとめた社会保障給付費の総額は103兆4879億円(3兆6272億円増、3.6%増)。国民1人当たりの社会保障給付費は80万8100円。(11/30MEDIFAXより)

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