医療の質、統一指標へ第一歩/厚労省、データ収集・公表促進
厚生労働省は2010年度から、各医療機関が実施する「質の評価」のための臨床データ収集や情報公開の取り組みを支援する補助事業を開始する。これまで医療の質については統一した評価の尺度がなく、医療機関が独自にデータを公表する形にとどまっていた。厚労省は各医療機関のデータを取りまとめることで、統一した客観的な評価方法の構築につなげたいとしており、その第一歩としたい考えだ。10年度中の早い時期に、補助率や具体的な申請の条件などを示す予定だ。
●補助対象は団体を想定
事業は「医療の質の評価・公表等推進事業」で、予算額は2972万円。これまで医療機能情報提供制度などによって、患者が医療機関の情報を得る仕組みが整備されてきたが、医療の質を客観的に表す指標は示されてこなかった。厚労省は、医療の質についての国民意識の高まりを受け、支援事業に乗り出すことにした。
都道府県などに通知した実施要綱によると、まとまったデータを収集するため、実施主体は、都道府県や市町村などの自治体や、日本赤十字社や厚生連などの公的病院団体のほか、日本病院会や全日本病院協会などの病院団体を想定している。
補助を受ける事業者は、特定の医療分野について、評価・公表を行う具体的な臨床指標を定める。厚労省は、例えば「肺がん治療のために入院した患者の死亡率」など疾病と死亡率などの専門的なデータのほか、「患者満足度」など病院の特性と関係なく評価できる指標なども視野に入れている。死亡率については、高低が必ずしも医療の質の高低を表す指標ではないため、厚労省は専門家の意見も聞きながら検討を進めており、今後、具体的に指標例を示す予定だ。(4/7MEDIFAXより)