医療の地域主権、推進すべき/規制改革分科会WGが改革の方向性
行政刷新会議「規制・制度改革に関する分科会」のライフイノベーションワーキンググループ(WG、主査=園田康博・内閣府政務官と土屋了介・財団法人癌研究会顧問)は12月22日、検討を続けてきた医療、介護、保育分野の制度改革の方向性について大筋で了承した。WGが具体的に示した検討テーマは、医療18項目、介護15項目、保育6項目。医療に関しては、地域主権の推進や、無過失補償制度の導入などを検討すべきとの方針を打ち出した。
WGは報告書を11年1月26日の分科会に提出し、了承されれば厚生労働省など担当府省との折衝に入る。
●高齢者医療と介護保険、一元化視野に
WGは基本方針として、高齢者医療制度と介護保険制度の一元化なども視野に入れ、医療制度と介護制度を一体的に議論すべきと主張。「大きな改革の方向性を定めたら、細部に拘泥せずに実行に移すべき」と訴えている。
医療の検討テーマ18項目のうち「地域主権の医療への転換」「病床規制の見直し」では、国の権限を地方に移すべきとの姿勢を示した。▽地域医療計画の策定では、国による基準病床の算定式の提示や、国との協議義務を廃止▽保険医療機関の指定業務を都道府県に移し、指導・監督についても都道府県の権限とする▽一般病床の病床規制に関して権限を地域に全面的に移し、病床過剰地域の許可についても厚生労働大臣の同意を不要とする―などの改革案を提示した。
●無過失補償制度と免責制度、導入を
医療行為の無過失補償制度については、医薬品副作用救済制度の対象となっていないワクチンと、保険診療全般を対象に導入すべきとの考えを示した。補償を受けた際に損害賠償請求の訴訟権を制限する免責制度の導入も改革案に含めた。WGは「医療行為による有害事象は、過失がなくとも、誰にでも起きうるものであり、最も優先すべきは被害者の救済である」と主張している。
このほか▽医学部やメディカルスクールの新設も含めて中長期的な医療養成数の計画をつくる▽救急救命士が医療機関内でも業務できるように規定を見直す▽長期慢性疾患の患者が自己負担を軽減できるように高額療養費制度を見直す▽リハビリテーションの日数制限を撤廃する▽保険薬局の調剤基本料を24点に一元化する▽インターネットなどで医薬品を販売するためのルールを制定する―などの改革案を盛り込んだ。(12/24MEDIFAXより)