医療に何のメリットもないTPP参加
コミュニケーション委員会で意見交換
2012年度第1回コミュニケーション委員会を12月8日に開催した。委員会では、「3党合意の結果成立した『社会保障制度改革推進法』の問題性について」「開業医医療の今後の方向性について」「韓米FTAに学ぶTPPの問題性について」をテーマに協会から情報提供を行った後、委員より意見を求めた。地区から9人、協会から7人が出席、岡田楯彦代議員会議長の司会で進められた。
TPPへの危惧明確に
TPPに関して委員より、多くの国民はテレビを通じて情報を得ることが多いことから、TPPに参加した場合の医療におけるメリット・デメリットをわかりやすく説明したコマーシャルを流してはどうか。国民目線に立って、問題点を簡略にまとめ、テレビで流せば、国民も「TPPに参加するとまずい」と思ってくれると思う。もっとメディア戦略を講じる必要があるとの発言があり、続いて、他の委員からは、今日の話を聞いて鬼気迫るものを感じた。
日本がTPPに参加すれば、混合診療が解禁され、徐々に公的医療を圧迫していき、保険での給付範囲は縮小の一途を辿るのではないかと危惧する。財務省は、TPPを医療費削減の手段として捉え、最終的には国民皆保険の崩壊を目論んでいるのではないかと考える。農業問題ばかりが取り沙汰されるが、TPPの本当の狙いは、国民皆保険制度であることは火を見るよりも明らかであるとの意見が出された。
協会からは、TPPにおけるアメリカの狙いは、日本の民間保険の市場開放であり、その際、障壁となるのが国民皆保険制度である。国民皆保険が取り除かれれば、混合診療が解禁され、民間保険市場はアメリカ民間企業にとって、一気にビジネスチャンスの場となる。国の制度や保険制度など非関税障壁といわれる分野については、市場開放しても医療界にとって一つもいいことはない。TPPへの参加を検討するよりも、まずはASEANをはじめ中国、韓国などアジア地域と緩やかな経済協定を締結してはどうかと考える。日本にとって何が国益かを第一に考えるべきであり、世界に誇る日本の国民皆保険制度を放棄する必要は全くないと答えた。
在宅医療の在り方でも意見交換
また、社会保障制度改革推進法について、委員より厚労省は在宅医療を必要としている患者に、かかりつけ医を紹介する制度を推進している。しかし、地域によって、それぞれ事情が異なる中で、一括りで物事を進めることは難しいと考える。
厚労省が推し進める地域医療は、一体どこへ向かおうとしているのか、そして、その裏側で何をしようとしているのか、しっかりと考えていかなければいけないと述べた。
その他にも、消費税増税による院内処方の影響や衆議院選挙、患者の医療に対しての考え方などについて意見交換を行った。