医療との連携強化へ議論開始/介護給付費分科会  PDF

医療との連携強化へ議論開始/介護給付費分科会

 厚生労働省の社会保障審議会・介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東京大名誉教授)は5月30日、2012年度の介護報酬改定に向け、医療と介護の連携の在り方に関する議論を開始した。厚労省は、訪問看護やリハビリテーションなどを検討項目に挙げ、12年度介護報酬改定を活用してこれらの分野で医療と介護の連携を進めることを提案した。

 厚労省は、医療と介護の役割分担と連携強化に向け▽医療機関から退院する際の介護保険サービスとの連携強化と、円滑な移行▽医療の必要性が高い人への対応強化(老健施設などについては別途検討)▽介護療養病床から介護療養型老人保健施設などへの転換支援−の視点で検討を進めることを提案。具体的には、訪問看護やリハビリテーション分野での医療と介護の連携、療養病床再編の推進に向けた介護療養病床や介護療養型老健の基準・報酬の取り扱いなどを挙げた。

 井部俊子委員(日本看護協会副会長)は、訪問看護師が利用者の入院している医療機関に出向いて退院支援を行う場合について「介護保険では今のところ該当する評価がない。医療保険と介護保険で評価の違いがあるということが随所に指摘されている」と説明。「環境の変化の影響を受けやすい高齢者がスムーズに在宅療養に移行できるよう、大半は介護保険の利用者となる。介護保険での退院支援の仕組みについて、次の改定で整理しておく必要があるのでは」と述べた。

 池田省三委員(龍谷大教授)は、認知症の地域連携パスに言及し「診療報酬でかなりきちんとした評価を与えると、医師はケア方針などが立てられる。政策誘導的にもっていくことはできないか」と質問。この日の会合に出席した保険局医療課の鈴木康裕課長は、医療が特に関わるべき点として認知症の鑑別診断や、BPSDが激しい場合を挙げ、介護との協働に向け同時改定で論点の一つになるとの見方を示した。

 三上裕司委員(日本医師会常任理事)は「医療の必要性の高い要介護者の増加が見込まれるという前提で議論しているはずだが、介護療養病床から医療密度の低い介護療養型老健などへの転換をますます進めなくてはいけない、というのはどういうことか」と厚労省が示した論点に異議を唱えた。(5/31MEDIFAXより)

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