医界寸評
今年の桜はとても綺麗だった。10年ほど前に、仙台の知人に「平安神宮の桜をもう一度見てみたい」と言われ、半信半疑でお連れした。その素晴らしさに正直驚いた。長年京都に住んでおり、桜の名所は知っているつもりであったが、灯台下暗しとはこの事であった
▼知っているようで知らないことは、意外と多い。生活保護の患者さんを診察する機会は多いが、その制度については疎い。以前、母子家庭で生活保護を受けておられる方を職員として採用したことがある。よく仕事をしてくれる方であったが、毎月収入が多くなると、決まって「1週間ほど都合悪くお休みください」といわれた。退職時に聞くと「ある一定の収入が続くと生活保護が全て打ち切りになり、生活できなくなるので申し訳なかった」と言われた。面接の時には、「できれば生活保護から抜けたいので」と言われていたが、実際一気に打ち切られると困ってしまうのだろう。働いて稼いだ分だけ減額するような、ゆるやかな制度にならないものかと思う
▼話は変わるが、「7種類以上の薬を処方すると減額する」というのも似たようなことである。八つ目になるので必要な薬を出さないなど、おかしな話である。糖尿病や高血圧の多剤併用療法が標準となっている時代には、もう少しゆるやかな制度に変更してもらいたいものだ。(蕉)