医界寸評
東日本大震災・東京電力福島第一原発事故から2年になろうとしている。2012年6月21日に「原発事故子ども・被災者支援法」が可決成立した。原発事故での放射性物質による放射線が人の健康におよぼす危険について科学的に解明されていないとしながらも、一定の基準以上の放射線量が計測される地域の原発事故被災者が被災地にとどまるか、あるいは避難するかにかかわらず、適切な支援を国の責任で行うこととしている。また国に対して低線量の放射線による人の健康への影響等に関する調査研究および技術開発を推進するとともに、放射線の健康への影響等に関して学校教育、社会教育を行う施策を講ずるものとしている
▼ただ、まだこの支援法は理念法、基本法であり、具体的な支援政策はこれから個別法案の制定や政令で定められていく
▼被災地から避難されている人々は、もうすでに子どもそして自分の健康への不安、生活の不安などストレスを感じている。このこと自体が健康被害だと言わざるをえない
▼国は今まで進めてきた原子力施策を見直し、自らの責任のもと、早急に被災者の意見、思いを受け止めねばならない。そして、支援法の理念に違わぬよう具体的な法案を制定し、政令を定め、支援法に命を吹き込んでほしい。我々も国の今後の動きを注視していかなければならない。(治)