医界寸評  PDF

 社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)の一部改正により、介護福祉士及び一定の研修を受けた介護職員等が、一定の条件下で喀痰吸引等の行為が行えるようになって半年になる。それまで、通知で“実質的違法性阻却”として容認されていた行為が、正式に仕事として行われるようになった。

 本年4月の施行に向けて、昨年度ドタバタと指導者講習が行われ、介護職員等によるたん吸引等研修が、「不特定の者対象」と「特定の者対象」とに分けて実施されたが、半年ほどしか時間がなく、付け焼刃的な感は拭えない。受講機会が限られ研修を終了した人数が少なく、結局、なし崩し的に実質的違法性阻却の状態が今も続いている。

 今年度の研修は有料で、テキスト代、研修代、実地演習代と一人に何万円もかかるようだ。日当支給で研修に出し、代替人員を確保し、交通費なども必要となればたいそうな入用になる。なおかつ、介護職員等によるたん吸引等支援体制加算は特定事業所加算を算定している事業所は算定できず、もともと重度訪問介護で介護保険の身体介護より安価な中で頑張っている事業者のボランティア精神に依存しているようで申し訳ない。介護現場の人員不足が問題となり待遇改善がいわれているが、何でも安く済まそうという考えを変えないといけないはずだ。(門雀庵)

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