医界寸評  PDF

医界寸評

 医療ツーリズムとは、居住国と異なる国地域を訪ねて医療サービスを受けることであり、主に安い手術代や薬剤費、高度医療技術、臓器移植、美容手術、健康診断など、自国では不可能、高価、求めている結果が得られない医療を受けることを求めて、先進工業国の患者や途上国の富裕層などが他国へ渡航するのが中心である。

 民主党は2010年6月、医療ツーリズムを新成長戦略の柱と位置付けたが、現場においていざ始めるにあたり、施設、医療機器などハードの整備・更新、医療スタッフ、医療通訳などソフトへの多額の投資にせまられる。現在、医療レベルが低い国であっても、たとえば中規模病院を新設し、各分野の専門家を招聘すれば、そこで完結させられるのであり、検診それに引き続く医療を提供する程度を求めるのなら他国にわざわざ行き続ける必要がなくなる。また、国際情勢により簡単に交流が停止することは昨今、見てのとおり。

 10月8日、山中伸弥教授のノーベル賞受賞で日本国中は沸きかえった。iPS細胞(人工多能性幹細胞)の実用化により新薬開発、治療が絶望視されているさまざまな重病・難病への治療、また細胞移植という再生医療が大きく前進することは間違いない。日本でしかできない画期的な医療に繋がれば、人類への貢献とともに産業としての未来がある。(木鼠)

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