医界寸評
昔、怖いものと言えば「地震・雷・火事・親父」だった。親父はその座を追われて久しい。もうすぐ竜巻に変わるかもしれない。竜巻といえば、今まではアメリカの荒野に出現するものか野茂投手のトルネード投法を思い浮かべるぐらいだった。日本でも最近は時々出現するようになり、今回は日本でも特に大きな被害が出た。
今年は辰年。この三月に東福寺の涅槃図を見に行った。お堂の天井画は堂本印象の龍図だ。日本の寺院の天井画には龍図が多い。天龍寺・建仁寺・知恩院三門等々。特に妙心寺の八方睨みの龍は有名だ。ボストン美術館所蔵の蕭白の龍図が里帰りしてテレビで見たが圧巻だ。龍は架空の動物だが中国や日本の風習に密着している。風が天に巻き上がる気象現象を「竜巻」というように、格言も多い。
立派なマニフェストを掲げて政権を取ってもこの現状、「竜頭蛇尾」といえる。より良い社会を目指し、公約しても最後の仕上げはさっぱりだ。「画竜点睛を欠く」もある。政策は世論に迎合して簡単に目を描かれても困るが、説明・開示・責任に始まる肝心なものを欠く時代が何時までも続くのはもっと困る。津波や竜巻が如何に恐ろしいといっても広島・長崎の原爆に並ぶ福島の原発事故に勝るものはない。人災が一番怖いということか。心したいものだ。(名)