医界寸評  PDF

 新年度が始まり半月が経った。薬剤費・医療材料費を減らし捻出した4700億円は、昨年12月の社会保障審議会で決定された急性期勤務医処遇改善、在宅医療・がん・認知症治療充実にその大部分が配分される。中小病院・診療所が求めた前回減額の再診料の復活なし。

医療のIT化を国が政策として提言しだしたのは高々10年前であるが、ついていくのは大変だ。いかに診療に長けていてもパソコン操作が得手とは限らず、手練が近くにいるとは限らぬ、各種の機器トラブル、印刷エラー、電子請求のためのCD作成なかなか大変、こんなこともと息子に嘲笑され、いきおいプロバイダー頼み、年間保守契約の範囲外と費用の追加。薬情・レセチェックソフトの高いこと、おまけのメンテナンス料。終わったはずの窓口でこの薬はやはり要るの要らないの、そのたび領収書、誰も欲しがらぬ明細書の打ち直し、印刷することに。インクのみならず紙の無駄―日本中でどれだけの熱帯雨林が消えていくのか。

 事務量増加で半人分は増員要。保険投与の制限が強まったビタミン剤。「ちゃんと保険料は払い、先生が必要と認めて出してくれてたやないか、これで体調もいいのになんでや」とねばられると説明は難儀、受診が3回目以後、あるいは6時以後でなぜ負担が違うのか、これまた同様だ。保険診療、本来の診療以外で悩まされ、それでも何とか対応する開業医、あんたは偉い。(木鼠)

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