医界寸評  PDF

 公的医療保険は都道府県単位に一元化されたが、京都府も含め地方では東京一極集中により、所得が伸び悩み高齢化と合わせて保険財政は悪化の一途であった。2012年の診療報酬改定時収載項目以降の医療技術は公的医療保険の対象にならなくなっていた。

 ちょうどこの年TPPに参加し混合診療が解禁され、公的保険対象外の医療は自由診療となり、米国式の民間医療保険を利用する人も出てきた。

 民間医療保険では、契約時の遺伝子診断と指定された健診による発病リスク診断で保険料が決定され、その事後処置の内容で保険料が毎年更新された。

 民間保険を利用して診療を受けるには、保険会社指定の病院に受診し、まず特定看護師の問診と検査指示を受けた後に専門医の診察となる。しかし加入時に保障対象外とした疾病は自費診療となる。

 医療ツーリズムで来日した、発展途上国富裕層の医療費は病院独自に決めれるため、国内保険利用者の診療より優先される。薬物の用法用量が米国並みに拡大され、入手も医師や薬剤師の関与なくインターネット等で可能なため、健診結果改善を目的とした不適切使用による副作用での発病者が増える。医療ツーリズムによる有病者の入国が増加し検疫をすり抜ける感染症が蔓延する。このため基本的疾病をカバーしている公的医療保険の財政がさらにさらに苦しくなる。

 10年後はこんな社会ですかね。(恭仁)

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