医界寸評  PDF

医界寸評

昭和20年終戦の後、日本の子ども達の頭髪に米兵が白い粉をかけ虱を退治した。その粉の名はDDT。大半の日本人が初めて耳にした英語ではなかっただろうか。正式名は英語で31文字にもなる。当時の流行語にもなった。ギブミーチョコレートという言葉より早く知った筈だ。

▼それから60余年。今度はTPPという文字があちこちで踊っている。英語の頭文字なので一般人には分からなかった。意味を持った漢字の略語なら少しは想像できる漢字の素晴らしさを改めて思う。ましてや我々の医療用語のMRI・PTCD・NICU等は、医療以外の人には無関係。略語も慣れれば確かに便利なものではある。余談ではあるが、今の若い人はアルファベットの筆記体は教えてもらっていないらしい。必要ないそうだ。これは謎である。

▼ブータン国王夫妻が来日され、日本に温かい風をもたらして下さった。ブータンの目標はGDPを上げることではなく、GNH(グロス ナショナルハピネス)国民総幸福量を上げることだという。山中教授のIPS細胞が実用化されると新聞に出ていた。科学の進歩で、限りない幸せを追求する一方で「足るを知る幸せ」もあることを忘れてはならない。終戦当時のDDTは日本のGDPを上げてくれたが、TPPは果たしてGNHを上げてくれるのか?まだ交渉参加ではあるものの問題満載の参加表明になるのか?注視を怠ってはならない。(名)

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