医界寸評
社会保障・税一体改革成案が決定した。消費税を社会保障の目的税とすることと、2010年代半ばまでに消費税率を段階的に10%まで上げる内容である
▼国の財政赤字をこれ以上増やさないために、まずは、プライマリーバランス赤字の対GDP比を2015年までに半減する目的で消費税を5%上げるというのが今回の主眼である。社会保障の充実に3・8兆円要し、効率化重点化で1・2兆円節約し、差し引き2・7兆円(消費税1%)必要という筋書きである。即ち、5%上げた内、制度改革に充てるのは1%ということである
▼改革案に対して、マスコミ各紙はおおむね賛成であり、給付抑制策は踏み込み不足と指摘するところもある。三師会は医療、介護への資源投入の方向性は評価しているが、患者負担増など給付抑制策には反対している。国民世論は、社会保障充実のためには消費税を上げてもよいとするのが50%ぐらいになっているが、菅さんが消費税10%と言って選挙に負けたように現実は別である
▼社会保障費用は現状のままでも増え続けるだろうし、充実させればさらに相当の財源がいる。赤字国債もあわてて返す必要はないが、今のペースで増え続けるのは問題であり、プライマリーバランス論も無視はできない。私たちも国民も充実を求める以上、税や保険料など、どういう負担の在り方がいいのか真剣に考えなければならない。(彦)