医界寸評
今年の流行語大賞の候補に「後期高齢者」は入るかも
▼新聞紙上も度々賑わしている。医療関係の印刷物などは言うに及ばない。該当者の皆さんは、若い人に自分の貴重な経験や知識を披露したり、社会に文句や苦言を呈すべき時にも「私はどうせ後期高齢者だから」と自虐的に言ったり、その言葉を逃げ口実や言い訳に使っていないだろうか。お年寄りとか爺さん婆さんという温かい言葉も死語になりそうだ。「末期高齢者と言われるよりマシ」という声もあるが、年齢が高くなるほど能力の個人差が大きいのに、年齢で括ってしまうのは抵抗があって当たり前。車に紅葉マークを貼ることに抵抗している人も多い。後期高齢者はメタボの健康診査はしなくても良いとは言いにくい(メタボも流行語大賞の候補?)
▼ただよく聞くと年齢で差別(区別?)されたことに抵抗を感じ、制度を熟知して、その制度に抵抗している人は少ないようだ。医院の待合室に貼ってある後期高齢者へのポスター(健康診査についての)もなかなか理解できていない。実際ややこしい。どう考えても行き当たりばったりの制度に思えてならない。性善説(信頼)の上に成り立っていた医療はどこへ行ったのか。世の流れとはいえ寂しい
▼9月は敬老の月、本当の敬老とは何かを考え直す月。日本の医療を信頼し支えてきた後期高齢者を裏切ってはいけない。何とかしなければならない。(名)
【京都保険医新聞第2654・2655合併号_2008年9月1・8日_1面】