医界寸評
世界的な食糧不足が深刻化して、暴動が発生している国も多数あるとのこと。食糧サミットを開いても、バイオ燃料にする自国の都合を主張する国もあり、また金余りの国が投資先に穀物を利用したりと、必要以上に値をあげることになっているように思われる
▼食物の6割以上を外国に依存している我が国にとって、世界的食糧問題は人ごとではない。お金を出せば手にはいるという状況は、いつまでも続きはしない。自国の民を飢えさせてまで輸出する国はないであろう。食糧の自給率を上げることが喫緊の課題であるはずだろうに、官房長官が減反見直しを口にしたら、多くの議員より反対の声が挙がっているとのこと。農家の収入に占める国からのお金の割合は、欧米に比し日本ははるかに少ないとのことで、農政自体を見直す必要があるはずなのに。食糧自給が最大の防衛のはずである。また、一度荒れた農地を元に戻すには大変な労力を必要とするし、農地が荒れると国土も荒れる。人の手が入ることにより維持されている環境もある
▼人や動物の栄養となるべきところで燃料をつくらず、トウモロコシの芯の部分や葉などから燃料をつくり、食べるところはその分安く売るというような新しい技術は登場しないのであろうか。こんなことを考えている間にも世界では多くの人が餓死している。食べられることにもっと感謝しなければならない。
(門雀庵)
【京都保険医新聞第2648号_2008年7月21日_1面】