医界寸評

医界寸評

 憲法9条と25条をめぐる論議は耳目を集めるが、41条をこんなに真剣に捉えた集会は初めてだった。日本国憲法第41条はこう書かれている。「国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」

▼先日「レセプトオンライン請求」義務化撤回訴訟勝利を迎えた原告団総会に参加した。運動の中心を支えた神奈川協会各担当者たちの、はじけるような笑顔と誇らしげな挨拶、全国からこの提訴に加わった保険医たちの底力に改めて心を熱くした

▼協会の医師・事務局たちと弁護団は論点を憲法の三つの条項に絞ったという。第13条情報の自己決定権違反、第22条営業の自由違反、第41条法律による行政の原理違反である

▼これらに対し国側の裁判引き伸ばしも予測されたことから、マスコミも注目する一千人を超える原告団の組織に努めたという。最高裁までとも囁かれた訴訟を勝利に導くまでの苦労は想像に難くない

▼大阪訴訟を加えれば二千人を超える原告がたたかい、厚労省のパブコメには患者からも多くの意見が届けられた。提訴に加わった六十余人の京都の保険医たちにも絶賛の拍手を送りたい

▼それにしても地域医療にまい進する医師たちの生殺与奪の権利を握り、患者情報漏えいも懸念される問題を一片の課長・局長通達で押し通すなぞ許されるものではない

▼保険医運動が改めて手にした地平の大きさとその意義を素直に喜びたい。(光)

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