医界寸評

医界寸評

 母校の6年生に医事法関連の講義をする。「医事紛争と安全医療」「医療過誤と法律」の2回で、京都協会等での解決支援活動の経験や実地臨床で気付いたことや裁判事例を語る。出欠確認の小テストでは、「忘れては実地診療で役に立てず、損することは何か?」とした

 ▼今回出席は男58人95・1%・女25人80・6%、講義は5段階評価で平均4・3と良いが、欠席男3・女6であった

 ▼回答は、まず、医療においても「一般的な法律知識が必要」20(重複回答)と多く、「責任」は22で、道義的・倫理的・政治的・教育的等の他に法律上は刑事・民事・行政上の責任が生じ、要件と効果の別の「責任果たして、責任免れ」にも理解がある。次は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者はそれによって生じた損害を賠償する責任を負う」(民法709条)や関連する要件24で、特に過失とは悪しき結果を予見・回避できるのに不注意で予見・回避しなかったことを指し、医療水準がその判断基準になり、達せぬ場合は対診・転医勧告が必要とは理解されている。しかし、医療には不確定性がある。特に治療でのそれをどう説得的に説明できるか

 ▼業務上過失致死傷罪や尊厳死などの要件を満たさぬ安楽死が殺人罪とか、守秘義務違反や診断書の虚偽記載や免許のない者の医行為で医師法違反など18とも怖れられる。後生畏るべし哉。(卯蛙)

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