医界寸評  PDF

医界寸評

 英国では、国民投票でEUから離脱するという選択が示された。我が国よりはるかに民主主義の進んだ国のはずであるが、過激な声に流されたのか、そんなことにはならないだろうと高をくくった人が投票に行かなかったのか、接戦とはいえ驚く結果だ。再投票をとの声もあるようだが、その影響は計り知れない。経済は世界に影響を与え、自国の分裂をもきたしかねないという状況になっている。米国でも過激な発言を繰り返す御仁が大統領候補になるようだ▼一方、我が国では参議院選挙であった。方や、安保法制や改憲については触れずに、経済の方に目を向けさせようとし、方や、改憲勢力に3分の2を与えないを掲げ、議論のかみ合わない選挙だった。加えて、都知事選挙の候補者選びのニュースや、バングラデシュでのテロで邦人の犠牲者が出たことなど大きなニュースが重なり、選挙への関心が薄まりはしなかっただろうか▼その結果、日本は改憲勢力が両院で三分の二を占めるという新しい時代に入った。改憲勢力のなかにもいろいろの考えがあるようだが、選挙で議論されないまま、改憲が現実の問題になり、国民投票も遠くないかもしれない。国民は、国民投票で甘い言葉や過激な言動に踊らされない有権者にならねばならない。選挙前に出版された『あたらしい憲法草案のはなし』は一読に値する。(門雀庵)

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