医界寸評
消費増税は先送りになった。民進党を始め野党も消費増税に反対だしこれでめでたし、めでたしだろうか。消費増税の見送りで社会保障に悪影響が出ることは必至である。社会保障の充実と財政再建には財源がいる。これを契機に別の税財源、つまり所得税と法人税の見直しを経済学者や各党に検討してもらいメディアをまきこんで政権選択の争点としてほしい▼所得税・法人税は1980年代から大幅に減税されてきた。現在純金融資産を1億円以上持つ富裕層は100万世帯あり保有総額は241兆円、企業の内部留保は366兆円もある。所得税は消費税導入前の最高税率60%まで段階的に戻し、株式配当に係る分離課税の総合課税化をはかる。法人税は減税でなく内部留保税などの増税や、政策減税の見直しをはかるなど。それでも足りない場合は消費増税もやむを得ないか▼日本の抱えている大きな問題は、少子高齢化と財政危機、貧困と格差の拡大であり、老後の不安(病気、介護、年金)や、子育ての不安から消費を切り詰める傾向にある。社会保障に雇用誘発効果、経済効果が大きいことは分かっている。この際、高額所得者、資産家、大企業により多くの負担をお願いして社会保障を充実し、将来に対する不安を取り除き、消費者が安心して消費にまわして経済成長につながる好循環を期待したい。(彦)