医界寸評
厚労省の第2回医療従事者の需給に関する検討会・第5回医師需給分科会で、「将来的に、仮に医師の偏在等が続く場合には、十分にある診療科の診療所の開設については、保険医の配置・定数の設定や、自由開業・自由標榜の見直しを含めて検討してはどうか」と保険医の配置に関して検討された▼一方、政府が検討している患者負担増のメニューに、「かかりつけ医」以外受診した場合、追加負担が検討されている。この二つを考えると、専門に特化した診療所の医師は、国の考える「かかりつけ医」にはなれず、受診する患者は、紹介状を持ってくるか、もしくは一定額の負担が必要となる。このことは、患者の受診抑制だけでなく、専門に特化した診療所は保険診療では経営が成り立たなくなる可能性がある▼そうした場合、保険診療から自費診療への移行も考えられる。自分の専門を前面に出し、患者の多い都市部に開業していく。保険医ではないので、前述の規制なく開業できる。さらに医師の偏在が進み、保険医運動の弱体化、そして皆保険制度、保険診療が崩壊していく。もしかしたら、国はそのことを期待しているのではないか。「かかりつけ医」以外に専門的な治療が必要なものは自費診療。そして、そこに民間の保険が入り込む。こういった社会の流れを食い止めなければならない。(治)