医界寸評
高浜原発3号機が再稼働することになった。原発推進か脱原発か意見が分かれるところである。優柔不断だと思われても仕方がないが、白黒はっきりさせるのは困難ではないだろうかと思っていた▼そんな時、佐伯啓思氏の『さらば資本主義』を店頭で見つけた。佐伯氏は「原発推進か脱原発かの単純二分法はおかしい。将来の日本経済の状況や代替エネルギーの状況を見ながら漸進的に減原発に向かうべきだ。また脱原発は経済レベルを落とし、脱成長を覚悟すべきである」と言っておられる。要するに、脱原発は「近代的な価値(より安く、より早く、より便利に等)」を根本から見直さなければ達成できないということである。ある程度豊かさを放棄する必要があるのだろう。また「成長戦略」についても言及し、現状打開には「グローバリズム」「競争力」「成長追求」を見直すしかないと主張されている。詳しくは佐伯氏の著書をお読みください。私らしくない内容になった▼年金をいただく年齢になり、「物質の豊かさ」を「心の豊かさ」へ、「生活の豊かさ」を「生活の質」にと、「少しは昔にもどろう」という気持ちになっている今日この頃である▼今年も厳しい診療報酬改定だ。審査委員の時、目に余るレセプトが散見された。保険医の自覚を持ち、良心的な保険請求をしなければならない。(玲奈)