医界寸評
昨秋、日本臨床整形外科学会の沖縄研修会に妻と参加した。サンゴ礁の海は青く澄み、空は何処までも透明で、気候は温暖で、何と住みやすそうな土地かと錯覚した。併催されたオプショナルツアーのバスの窓からは、米軍基地は何処までも広く、案内された洞窟壕は、火炎放射器や黄燐弾で避難民が焼かれ、あるいは手榴弾で自決させられたとの説明で、入口の焼けただれたかすかな痕跡をみるだけで中まで入るのがためらわれた▼昨月、今上天皇は満82歳の誕生日を迎えられ、戦後70年のこの年は、「先の戦争のことを考えて過した1年だったように思います」とのお言葉であった。また、激戦地の周囲の海にも不発弾が多く残っているとのご指摘・ご配慮のように、戦争の爪あとはまだまだ癒えていない▼今、在位第28年目の始めにあって、「先の戦争のことを十分に知り、考えを深めていくことが日本の将来にとって極めて大切なことと思います」とのことでもあり、日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動するのであるから、国民の一人ひとりが、団塊の世代で戦争を知らない子どもたちの一人である本土のこの私も沖縄の歴史を学び、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように決意して、恒久の平和を念願しつつ、これからの国政選挙に臨まねばなるまい。(卯蛙)
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