医界寸評  PDF

医界寸評

 2016年10月5日、マイナンバー制度が施行される。また、番号の利用範囲を拡大する改正法も9月3日に成立した▼マイナンバー制度を初めて聞いて連想したのは、チャップリンの映画「モダン・タイムス」だった。工場の職員として真面目に働く主人公が、生産の能率を上げるために個人が機械の一部にされて、個人の個性や尊厳が尊重されない社会を風刺した映画だ▼全国民を番号付けして、個人レベルの動きを細かくチェックできるマイナンバー制度は、これに似ている。個人を、国家という機械の歯車として扱う制度だ。しかも、国民全員に背番号をつけて、個人の取引や移動がその度に記録できるようになるというのは実に気味が悪い▼人口一億三千万人にも及ぶ日本の行政を、効率良く実施するには便利という面もあるだろうが、人間が名前ではなく番号で認識されるというのは不愉快だ。我々は家畜やペットではない▼このままではいずれそのうち、身分証明書代わりに各人マイナンバーを刺青しなさいとか、家畜やペットのようにマイクロチップを埋め込みなさいという世の中になるのではないか。実際に、全国民に指紋の登録を義務付けている国もあり、とても不安だ▼番号を付けるにしても所轄官庁内での事務の使用にとどめ、個人の使用には義務付けてほしくない。(mykonos)

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