医界寸評
医療制度改革関連法案が5月27日に成立した。この中で、紹介状なしで大病院を受診したら一部負担とは別に、5千円から1万円の定額負担を選定療養(国が認める保険外診療)として徴収されるということが盛り込まれた。現在でも、2百床以上の病院では任意で自由に特別の料金を徴収することができるが、今回は特定機能病院や5百床以上の病院に義務化するものである。1万円を提唱したのは日医であり、横倉会長も「勤務医師の疲弊を改善する観点から重要」と評価した▼差額ベッドをルーツとしアメニテイを対象としていた選定療養も今では、制限回数を超える医療行為(リハビリなど)や180日超の入院など、10品目に増えていて道理のないものが多い。1万円払えば大病院を受診できるということは、受診できる医療機関が個人の経済力に左右されるということで、医療は平等の精神に反するし、そういう観点からすれば差額ベッドも本来は廃止すべきであり、この際、選定療養全体を見直す必要がある▼かかりつけ医から大病院へという流れを作ることは大事だが、保険外定額負担、それもかなりの高額の選定療養でやるのは禁じ手である。あらゆる「受診時定額負担」の布石になる。選定療養の義務化なんて日本語としてもおかしいが、都合のいいように憲法解釈する国だから仕方ないのだろうか。(彦)