医界寸評  PDF

医界寸評

 先日、母が「家の近くで鶯が鳴いていたよ」と一言。「毎年、春が来たら鶯は鳴いていたはずなのにね」と続けた。父が亡くなってから6年。ようやく気持ちが落ち着いたのだろうか、毎日の日々の変化、自然の営みを感じられる余裕ができたのだろう。では、私自身どうだろう。日々の仕事などに追い回され、周りのことをしっかりみていないのではないだろうか。少し自信がない▼4月24日、医療保険制度改革関連法案が衆議院厚生労働委員会で強行採決された。最近、様々な重要な法案が一括して採決されている▼今回の内容も国保の都道府県化、入院給食費等の負担増、都道府県医療費適正化計画見直しによる医療費支出の「目標化」、紹介状なしの大病院受診等の「選定療養義務化」、患者申出療養創設など、どれ一つとっても、国民にとって大切な内容だ。それにもかかわらず、なぜ十分な議論もせず一括に成立させようとするのか。国民に対して後ろめたいことは一括で早急に決めてしまいたいのだろうか。十分に議論していくといった余裕が全くみられない▼このような状況では、国民が国に対して常に訴え届けている声や思いは、全く聞こえなくなってしまっているのだろう。暴走を止め、一端立ち止まって、今進んでいる方向が本当に正しい道なのか考える余裕がほしい。(治)

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