医界寸評
私鉄やJRに乗ると、各車両に優先座席がある。必要な人に譲れとあり、近頃では携帯電話の電源を切れと車内放送される。数年前、隣席の人が携帯電話を使おうとすると「心臓ペースメーカを装着している。調子が悪くならぬよう電源を切ってくれ」と言う人をみた。私も右腸骨骨嚢腫の手術を受け、杖を片手に優先座席を愛用する。しかし最近、「胸にドーンと来ることがあり、マイクロ治療器にも近寄れません」などいう患者さんがあり、電磁波は危険らしいと気になり始めた
▼このしばらく、携帯電話を使う人がいると、隣で寝ている人が心停止であれば、医師として救急蘇生に勤しまねばなるまいと不安になり、「電波は発射せずパソコン代りにだけ使って下さい、特に居眠りしている人の横では」と言うようになり、落ち着けなくなった
▼調べると1996年3月以降での携帯電話端末等による植込み型心臓ペースメーカなどへの影響への実験的調査(医薬品等安全性情報)や、翌年の不要電波問題対策協議会指針では、22cm以上離せばよいとされた。新方式の機種で輸液ポンプや人工呼吸器などへの影響には要注意であるが、この距離は増大せず、ラッシュ時など混雑での接近が問題と分った
▼その後、車内放送のあと巡回中の車掌に最近は事故の報道も聞かないがと尋ねると、それより乗車マナーの問題ですと回答した。情報収集が必要である。(卯蛙)
【京都保険医新聞第2669号_2008年12月15日_1面】