医界寸評
日々いろいろのニュースが押し寄せてきて、少し前のことは忘却の彼方となってしまうが、表現の自由に関するニュースでは、米国のほうは過去のことになってしまったように感じられる。コメディ映画で、国家元首の頭を吹っ飛ばすという場面が問題になり、上映するのしないのと話題になった。その国がどのような国であったとしても、元首を殺戮するのは如何なものであろう。チャップリンの「独裁者」では、瓜二つの散髪屋が入れ替わって名演説をして終わり、殺戮の場面はない。人を殺して笑えるだろうか?▼一方、仏のほうは、その後も尾を引いている。風刺画が、一切の偶像崇拝を許さないイスラム教の預言者を描き、イスラム教徒の心を傷つけ、過激な信者が新聞社を襲撃するに至った事件である。それを「テロ」と報じているが、本来寛容なイスラム教を信仰する人たちの中から、そのような過激な行動に出る者を生み出すに至ったのは、欧米側にも問題があったのではなかろうか▼いろいろな価値観の存在を寛容に受け入れてこそのグローバル化であらねばならないのに、米国などは自分たちの価値観を押し付けてグローバル化を図ろうとしているようにみえる。忘れそうになっていたTPP交渉が動き出したように報じられた。皆保険制度はどうなるだろう。(門雀庵)