医界寸評
日本の医学部入試制度は、戦後からずっと変わっていない。私は、一度一般の学部を卒業して、医学部に入学した。いわゆるリフレッシュマンとして医学部に入学した。一般教養を二度学んだ。そして、高齢で入学したので、特に辛かったのが、体育の実技であった。第二外国語も一度目の大学ではフランス語、医学部ではドイツ語を学んだ。今はどちらの言語も堪能とは言えないが▼ところで、アメリカの医学部入学制度は日本と異なり、一般の大学を卒業してから、大学院として医学部に入学することになる。MCAT(Medical College Admission Test)という共通の医学部入学試験を受ける。これには、物理学、生物学、口頭試問、小論文の試験が出題される。それから、大学の学部長の推薦状を貰い、晴れて医学部に入学する。アメリカの医学生は、医学部に入学するモチベーションが違う▼日本では、高校を卒業し、模擬テストの偏差値が高いからといって、医学部を受験するが、それとは随分異なる。私の時は、医学部の定員が100人であったが、そのうち2人ほど中途退学をしている。もったいないことだ。今、こういう無駄を省くためには、是非ともアメリカの医学部入学制度を検討してみては如何だろうか▼医師不足云々を唱えるより、もっと根源的な問題を解決することこそが、今の医療の改革に繋がると考える。(蝸牛庵)