医界寸評  PDF

医界寸評

 
 医師はある意味特殊な教育を受けていると思う。病気を治すために、患者の身体にメスを入れ患部を切除したり、また薬を投与する。こういった医療行為やそれを裏付ける基礎的学問を学ぶ。患者の同意のもとでの行為ではあるが、病気を治す、病巣を取り除くという大義名分のもと、医師はこういった行為が法律で認められている。また、医師は純粋に科学を探究するといった面もある。しかし、この大義名分をうまく利用され間違った方向へと導かれてしまうといった、弱い面も持っているのではないだろうか▼「患者申出療養」も「患者のため、病気を治すため」といった、いかにも患者のことを考えているという印象を与えており、それを大義名分としている。しかし、「患者申出療養」は安全性が確認されない治療を患者と医師、医療従事者の責任で行い、健康被害が起きた場合も患者の自己責任とされてしまう。これは、ある意味安全性を確認するための「実験医療」と言わざるを得ない▼安倍政権の進める医療の産業化は、健康や命を守るといった、患者や国民の立場での視点が皆無である。患者や国民の命を犠牲にしての医療の産業化が目指されている。私たちは、「偽りの大義名分」にまどわされず、しっかりと判断し、こういった政策に対してしっかりと反論していかなければならない。(治)

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