医界寸評
「先手必勝」という言葉は、自然相手では通じない言葉かもしれない。というより自然と戦うという発想が「人間の傲慢」なのかも。最近相次いで起こる自然の猛威には為す術もない▼「木曽のなぁ〜、…なんぢゃらほい」の木曽節は最も親しまれた民謡の一つだ。その御嶽山が火を噴いた。秋の土曜日のお昼。何の前触れもなくやってきて錦繍の山は一瞬で灰色の山となった。噴火による戦後最大の被害者の数といわれる。スマホの動画で噴火の恐ろしさに驚く。またも救助隊の方々の姿には頭が下がる。これだけ進んだ世の中といわれるのに、どうして予知できないのか。否、7分前には変化を感知したともいわれる。何か打つ手はなかったか。反省すべき教訓はないか。科学は人が如何に長生きでき、快適な生活を送れるかを追求してきた。火山帯が多く存在する日本。杞憂であればよいが▼火山噴火は目に見えるが、見えにくい強敵も出てきた。エボラウイルスだ。先手どころではない。しかも天災とウイルスには国境はない。地球規模で対策を…と誰しも思う。国家や国連あたりが対策を練っている。いや最善を尽くしているはずだ▼「運」というモノが存在するような気がする。「運」は人間の先手より先に決まっているのだろうか。たとえ後手であっても被害を最小限にする努力を惜しんではならない。(名)