医界寸評
文献によると、インフルエンザの歴史は古く、古代エジプトにはこの病気とみられる記録が残っている。日本でも、江戸時代にインフルエンザが長崎から持ち込まれたといわれている。幾度か全国的に流行し、「お七かぜ」「谷風」「琉球風」「お駒風」など世相を反映した呼び方があった。幕末ごろ、蘭学者によりインフルエンザが流行性感冒と翻訳された▼1918年から1919年に流行したスペイン風邪は、感染者数約6億人、死亡者数約5000万人ともいわれている。このインフルエンザのおかげで、第1次世界大戦は終結した。かの天才画家グスタフ・クリムトもウイーンで、1918年に、このインフルエンザに罹患して亡くなっている▼今年は、季節はずれのインフルエンザが流行した。B型インフルエンザが6月初旬頃まであり、今までとは様相が違う▼そして、今最も恐れられているのは鳥インフルエンザだ。今年4月12日に熊本県において、高病原性鳥インフルエンザが発生した。球磨郡多良木町の養鶏農場の鳥が全て淘汰され、大事にいたらなかった▼また、いつ高病原性の新型インフルエンザが発生し、いつパンデミックが起こるか分からない。今から新型インフルエンザに備えることが肝要だ。諺にある、「備えあれば憂いなし」。(蝸牛庵)