医界寸評
2017年度から始まる新専門医制度に19番目の専門医として総合診療医が加わった。地域の一般病院では、夜間・休日診療や当直、救急対応などを考えると専門医に加えて、総合診療医が欠かせない存在になっている▼新制度の総合診療医は2年間の初期臨床研修後から進むコースと他の領域から総合診療専門医への移行も可能で、約3年間、内科、小児科、救急の基本研修と外科などの関連診療科研修が考えられている。専門医取得後も家庭医あるいは病院総合診療医としてキャリア形成することが想定されるが、総合診療のように幅広い研修を求める学生は多いので希望者は一定あると思われる▼一方、現在の開業医は大学や病院勤務時代は専門医として働き、開業後はかかりつけ医としての役割をはたしているし、我こそは総合診療医と自負される方も多い。会員にとって自分たちの評価がどうなっていくのか一抹の不安を覚えるのも当然であるが、すでに地域で活躍している医師が取得するコースについても同時進行で検討するとしている▼医師不足は特に病院においては明らかであり、一定、医師数の増員を図らなければならないが、並行して良質な家庭医と病院総合医を育成して領域別専門医と協働することにより、いままでよりスムースな医療提供ができるような制度設計を期待したい。(彦)